2009年05月31日
ボレット&シャイーのグリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲
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ボレットのピアノが素晴らしい名人芸で、なんとも魅力的な演奏を聴かせる。絢爛豪華な名人芸が、聴く人を魅了しないはずもない。
ボレットは19世紀からのピアノ・ヴィルトゥオーゾの伝統を今日に伝える巨匠で、完璧な技巧とスケールの大きさはもちろんだが、彼の演奏には老いを知らぬ若々しさがあり、爽やかでクールな抒情が限りなく魅力的だ。
ロマンティックな味付けの濃い、表情豊かな表現がボレットの身上で、シャイーのきびきびしたバックを得て、より一層若やいだ演奏になっているのがいい。
名人芸の継承者でありながら、少しも音楽が老け込んでいないのが、ボレットの偉大さであり素晴らしさである。
その演奏には独特のきらめきや、老いた色事師が昔の恋を思い出しながら回想するような粋な趣があり、特にタッチの微妙なニュアンスは、凡手の及びもつかない境地であろう。
両曲ともボレットの資質が充分に出ており、特にグリーグが美しい。
第1楽章の冒頭の鮮明な音色に早くも彼の個性が強く表れている。
テンポは全体に遅めで、1つ1つの音の余韻を味わうように歌わせ、それが強烈なフォルテとのエネルギーの対照を作りつつ、スケールの大きい名演を生んでいる。
シューマンも遅めのテンポで、ロマンティシズムを生き生きと再現しており、フィナーレが特に名演である。
そして第2楽章のノスタルジックな溜め息、第3楽章でパッと花開く効果は、ボレットならではのヴェテランぶりである。
シャイーも好サポート。ボレットの解釈に、よく付けていて拮抗的な効果を上げている。
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