2009年06月07日
ガーディナーのバッハ:ヨハネ受難曲
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特異で劇的な開始をもつこの受難曲と、鋭角的なリヒターの指揮、解釈とが重なったため、リヒター盤以外にはいつも満たされないものを感じ続けてきた。
その後ようやくリヒターを相対化できたのであるが、それはもっぱらガーディナーのお陰である。
むろんガーディナーの指揮のもとでも、音楽はやはり緊迫し、激しい表情をみせる。力のこもったドラマがある。
しかし、ここが重要なのだが、リヒターの表現はもっぱら彼個人に由来するのに対し、ガーディナーはテクストから読みとれるものを音化しようとする。
力強さ、熱気の底に、作品を客観的に観察する冷徹な精神があり、その同じ精神が、精密で純度の高い表現を完遂するという驚くべき演奏だ。
ガーディナーの「ヨハネ」は、合唱を柱とした極めて純度の高い全体の構想が強烈なドラマトゥルギーを生み出し、聴く者の耳を呪縛する。
ガーディナーの熱い気迫が伝わってくるような演奏で、冒頭の切り込みの凄さ、緊迫した導入の鮮烈さは今までになかったものだ。
その気迫に火をつけられた器楽陣が先行し、そしてためらいがちに進む声楽パートとのズレが不思議な生命力を喚起する。
極めてシャープで緊張感のただよう表現で、"ドラマティック"といわれているこの作品を生き生きと表現している。
独唱陣では、ロルフ・ジョンソンの福音史家が知的な語り口で、最もすぐれている。
それにモンテヴェルディ合唱団の鮮烈な歌唱が純粋な世界を作り上げている。
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