2009年06月09日
モントゥー&ウィーン・フィルのハイドン:交響曲「驚愕」「時計」
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晩年のモントゥーがウィーン・フィルと残した録音はどれも素晴らしい。練習嫌いのウィーン・フィルのメンバーは、ときにモントゥーの長く、執拗な稽古にブツブツ不平を言いながらも、自分たちより遥かに年長の指揮者への敬愛を最上のパフォーマンスで表現した。
「驚愕」は、第1楽章序奏から、雅な木管の調べが美しい。長い稽古の甲斐もあって、アンサンブルは当時のウィーン・フィルとしてはもっとも整然としており、テンポやリズムも颯爽としていて気持ち良い。それでいて、機械的に鳴らされる音符はただのひとつもなく、つねに音楽的感興に溢れている。
第2楽章も実に丁寧な仕上げであるが、「驚愕」の渾名の由来となったトゥッティの強奏&強打でのユーモア感覚も極上である。
相変わらず典雅なメヌエットを経て、フィナーレにおけるただならぬ精神的高揚感はいったい何なのか。
聴衆のいないスタジオに、突如、指揮者とオーケストラに何か不可思議な力が舞い降りたのような奇跡の瞬間がマイクに納められたことを天に感謝したい。
一方、弦のしとやかな美しさという点では、「時計」も負けていない。第2楽章に滲み出る哀感にモントゥーの偉大な人生の年輪を感ぜずにはおれないのである。
メヌエットにおけるフルートの風に吹かれたような詩情もウィーン・フィルの美点をとことん導き出した好例だろう。
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