2009年06月25日
チッコリーニのサティ:ピアノ作品全集
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日本でのサティ・ブームは1980年代ごろから爆発的におこったが、チッコリーニは、1960年代の前半に、すでにサティの作品全集の第1弾を手がけていた。
つまりチッコリーニは、いわゆるサティ・ブーム以前からサティ演奏をしている、年季の入った筋金入りだ。
それだけに彼の演奏には、さすがににわか仕込みのサティ弾きにはないものがにじみ出ている。
それが聴き手の耳をくすぐり、心をいやしてくれるのだ。
有名な「3つのジムノペティ」や「6つのグノシエンヌ」がその好例。
1970年代の初めのチッコリーニの全集によって、サティの音楽は徐々に、しかし確実にわが国でファンを獲得していった。
「ほほえみで諷刺した喜劇作家モリエールがそうだったように、サティとその音楽もまたモラリストなのだ」とチッコリーニは言っている。
この演奏はそうした特徴がよく表れており、メロディーの美しさとともに、音楽による諷刺的な面も強調している。
率直で、自然体にサティにアプローチしたもので、いくぶんあっさりとした表現だが、音色の美しさと繊細さが魅力。いまなお新鮮さを失っていない。
現在までにサティの音楽はかなり正当に音楽史に取り込まれ、演奏される機会も格段に増えていった。
サティの音楽のような一見単純な作品の場合、読みを深くすることは極めて困難だ。
この驚くべき知性の人が仕掛けた世紀末的な罠をくぐるには、知性と感性が決め手となるが、ここで聴き手は、チッコリーニによる切れ味のよいサティの音楽を知的にも感性的にも純粋に享受することができる。
これはサティ演奏のスタンダードとなりうるディスクといえるだろう。
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