2009年06月25日
ブレンデルのリスト:ピアノ作品集
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リストをかなり聴き込んでいる人でなければ関心をそそられそうもないリストの作品集だが、ブレンデルの真価はこういう曲でこそ発揮される。
ここでのブレンデルは、リストの内面を映し出そうとして、それに成功している。
ブレンデルは、例によって、磨き抜かれた美しい音色で、1曲1曲を丹念に弾いている。
音楽の内面に光りをあてているところなどは、"リストのスペシャリスト"と呼ぶにふさわしい卓抜な演奏である。
ブレンデルは、どこまでも知的で内省的、テクニックを感じさせない静かなアプローチに特色がある。
音の探究者としてのリストを前面に出し、詩的で思索的な表現といえよう。
かといって、決してテクニックが劣っているわけではなく、充分テクニックを保持しながら、それを目的とせず、あくまで表現の手段と割り切っている。
もちろん構成感・色彩感とも不足はなく感覚的にも磨きあげられた演奏だが、音の探究者リストの姿が、よりストレートに感じられる点、ブレンデルの説得力は大きい。
年輪の厚さのよくあらわれた演奏で、なんとなく渋い感じを受けるが、聴いていると、胸の奥底まで、ジーンと響いている力と強さが感じられる、説得力のある表現となっていて、凄い。
ここにもブレンデルらしい、誠実さと芸術家魂を改めて窺うことができよう。
この演奏を聴けば、華やかな衣装の陰に隠されているリストの一面を知ることができ、リストを技巧主義の権化とする見方は修正を余儀なくされるはずである。
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