2009年06月26日
ジュリーニのバッハ:ミサ曲ロ短調
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オリジナル楽器隆盛の今日、ジュリーニのこの素晴らしい演奏は、バッハの音楽の普遍的な美しさの本質を教えてくれる。
冒頭のキリエの、優しく豊かで深い祈りの歌が始まると、われわれの耳と心は感動的な至福の世界へ誘われる。
「バッハの様式は云々…」といった衒学的な狭い世界とはまったく一線を画したこのジュリーニの演奏は、さりとてロマン派風の解釈という括弧でくくるのにも抵抗がある。
ひたすらに音楽的で、ひたすらに人間的で、ひたすらに宗教的な演奏なのだ。
バッハがラテン語のテクストに託した想いは、ジュリーニとバイエルン放送局のコーラスとオーケストラの心を通じて比類なき姿となって、われわれの前に提示された。
バッハの音楽は、常に人間にとって新しい。あらゆる演奏スタイルを受け入れ、しかも作品としての生命を失わないバッハこそ、音楽の尽きせぬ魅力の源泉と言える。
このジュリーニがバイエルン放送響と合唱団を指揮したライヴ録音の、あらゆるメンバーがバッハの音楽とジュリーニの指揮に共鳴し、優しい祈りの如くに、しなやかに、しかも深い感動を込めて歌い上げている名演を聴くと、バッハの偉大さを改めて思わざるを得ない。
あらゆる声部が、オーケストラもコーラスもこれほどまでに共感をもって、有機的にからまり合い高まって行くバッハ演奏は決して多くない。
老巨匠ジュリーニの凄さとバッハの偉大さが生み出した稀代の名演である。
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