2009年07月20日
パールマンのパガニーニ:カプリース(奇想曲)
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パールマンの20代後半の演奏。
ヴァイオリンの超絶技巧をもりこんだこの難曲を、パールマンはこともなげに楽々と、そして見事に弾ききっている。
「魔神」とまで恐れられたパガニーニが開発したといわれる極めて高度な難技巧が集約された《24のカプリース》は、技巧のための練習曲とみなされた時代もあったためか、ハイフェッツをはじめとする20世紀前半の名手たちはほどんど録音していないし、演奏家にとって録音する時期が難しい作品でもある。
1960年代後半から活躍をはじめたパールマンにとっても、最良の時期の録音だったに違いない。
そのほとんど完璧といえる研ぎ澄まされた技巧のすばらしさは、アルペジオやスピッカート、各種の重音奏法など、さまざまな難技巧に余裕すら感じさせるし、作品本来の魅力を鮮やかに再現している。
パールマンは、4歳の時小児麻痺にかかり、以来下半身が不自由となったが、彼の演奏にはそうしたことからくる暗さはみじんも感じられない。
むしろ、持ち前の美音を生かしながら、のびのびと明るい音楽をつくりあげているが、これは、そうした彼の持ち味が最高度に発揮された演奏といえよう。
各曲のもつ味わいを、表情豊かに、時には幻想的に表現しており、聴いていて飽きることがない。
同曲の演奏にときおり見られるような自虐的な悲壮感はなく、その音色はどこまでも暖かく、どの曲からも演奏という行為の愉悦が感じられるところが好ましい。
パールマンにとっても二度と望めぬ名演だろう。
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