2009年08月02日

クレンペラーのヘンデル:オラトリオ「メサイア」


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時代の証言としても貴重な記録である。全人間的、汎人間的といおうか、クレンペラーはベートーヴェン的処理法で演奏しており、「メサイア」が重厚極まりないバロック的ロマン派音楽と化している。

ヘンデルのイメージは、ガーディナーあたりの活動によって近年すっかり塗り替えられてしまったが、伝統的な壮麗で力強いヘンデル像にも一半の真理を認めるとすれば、クレンペラーの《メサイア》は、その最右翼に置かれうる。

ずっしりとした重みをもつ、堂々たる演奏である。

クレンペラーはいくつかのアリアで弦のオブリガートを朗々と歌わせているが、それを、かつて志鳥栄八郎氏が、「富士の秀峰を仰ぎ見るよう」と評されたことを覚えている。まことに、言い得て妙である。

英国には19世紀以来の伝統的な《メサイア》の演奏様式があるが、英国で録音しながら、クレンペラーはオーケストラも合唱団も編成を縮小し、現代の様式に近づけている。

しかし、解釈はまぎれもなくクレンペラーの個性を反映してスケールが大きく、密度が濃い。

彼はテンポを遅めに設定して、明確なリズムとともに演奏に揺るぎない安定感と落ち着いた流れを与えている。

独唱も合唱もその流れに乗っているので、表情は豊かになり、エネルギーは充分に発散される。

クレンペラーの演奏で聴く《メサイア》は、まさしくヘンデルの音楽と人間のスケールの大きさと不屈の精神を実感させてくれる。

今日では、時代楽器による軽快な演奏がもてはやされているが、ヘンデルの在世当時にはより大きな編成で演奏されていたことを考えると、クレンペラーの堂々たる演奏は、精神においてヘンデルの演奏に一脈通じるものがあり、今日でも強い説得力を持っている。

絶頂期にあったシュヴァルツコップのソプラノが何とも魅力的だし、ホフマンのアルトも充実している。テノールのゲッダもクレンペラーの棒によくついている。

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classicalmusic at 15:53コメント(0)ヘンデル | クレンペラー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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