2009年08月08日
ヘブラーのモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
モーツァルト弾きとして名を成した、ヘブラーの自信が滲み出た演奏だ。
彼女の持ち味のひとつに、見事にコントロールされた美しい響きがあるが、それはこの再録音によってますます磨きあげられている。
若いピアニストが生み出す響きのように鋭角的でなく、まろやかな中にヒューマンな感情を漂わせ、聴き手を魅了するのだ。
ひとつひとつの音符がくっきりと輝き出るような明確なタッチ、よい意味で芯のある響きが快く、少なくともモーツァルトを弾くために、磨くだけ磨きこまれた筋金入りの技巧を聴くことができる。
そして、この演奏には"気品"があり、そこが彼女の強味であろう。
ほんの少し聴いただけで気持ちが和んでくる、まろやかで、うるおいがあって、ぬくもりの感じられる演奏だ。
モーツァルトに対するヘブラーの思い入れが、弾き出されるすべてのフレーズ、すべての音に、ごく自然に反映されている。
どのソナタのどの楽章であれ、こうしたヘブラーの持ち味をたっぷりと味わわせ、楽しませてくれる。
全体に渡ってさりげない"思い入れ"が生かされており、それが容易に真似のできないこの人の個性だと知らされる。
この自然な語り口は、長いキャリアを通じてヘブラーがつかみとった奥義だろう。
当代最上のモーツァルト演奏のひとつである。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。