2009年08月09日
アーノンクール&コンセルトヘボウのハイドン:ロンドン(ザロモン)・セット
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学問と実際の融合に常に心を砕いてきたアーノンクールの芸術的成果が示された演奏。
アーノンクールのハイドン解釈は、彼自身の中でも明確になってきたようで、確信に満ちた表情には感心させられる。
アーノンクールはモダン楽器によるコンセルトヘボウ管を振っているのだが、演奏のスタイルそのものは、きわめてオリジナル楽器的で、まず漸弱・漸強を使わず、強弱をはっきりと付けて、まるでバロック音楽のように扱っている。
アーノンクールはこれらハイドンの後期の作品を、ベートーヴェンを経て現代へと連なる響きの世界で考える。
しかしこの刺激的な解釈には、彼が長年にわたりオリジナル楽器を用いて、バロック音楽の新しい方向を模索し続けてきた経験が生きている。
なかでも「時計」が秀演。まず第1楽章序奏部の柔軟な感触が良い。第2楽章では、弦がオリジナル楽器を用いているような効果を表していることに注目したい。
第3楽章はかなり速めのテンポと歯切れの良いリズムが爽快であり、終楽章の主題の表情や各部分の克明な処理も独自のもの。
「驚愕」では、期待通りの対比と変化に富んだ演奏を聴かせており、第2主題など軽妙で、アーノンクールの音楽的語彙の豊富さにも感心する。
「軍隊」での楽器の用法もきわめて挑戦的で、突然盛大に鳴らして意表を衝く。普通の演奏で聴き馴れていた耳には、別の曲のように響くのではなかろうか。
問題提起を怠らないアーノンクールらしい演奏だが、新鮮な感動を与える素晴らしい出来だと思う。
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