2009年08月23日
ストコフスキーのチャイコフスキー:交響曲第5番、ムソルグスキー:展覧会の絵
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ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管は、いかにもストコフスキーらしい芝居気に溢れた、ドラマティックな怪演になっている。
チェイコフスキーのスコアに大鉈をふるい、表情記号や速度記号の変更もお構いなしで、面白く聴かせるためなら手段を選ばぬ、エンターテイナーとしてのサーヴィス精神が嬉しく、これほど聴いて楽しい演奏というのは、ちょっとないだろう。
録音もロンドンお得意の「フェイズ・4」システムで、トリックも存分に駆使されていて、典型的な「ストコ節」を堪能することができる。
フェイズ4録音のためか、交響曲はコンサートではとても聴こえないような内声が浮かびあがる。
スコアの指示も自由に変更され、ストコフスキー独自の表現をつくり出しているが意外なほど粘らず、音楽的に自然であるのも興味深い。
両端楽章にカットがあるが、とにかく作品をわかりやすく聴かせるという意味では見事な解釈である。
この曲をストコフスキーは生涯に3回録音しているが、いずれも彼自身の手の入ったすさまじい改編版である。
テンポは全体に遅く、表情はすべてに大袈裟で、劇的な大向こう受けを狙った演奏といえる。
しかしスコアどおりに演奏したどの演奏よりも、これは面白く楽しんで聴けるのである。
ここにはかなりのカットさえあるが、ロンドンのフェイズ4録音の威力とともに、その音響的な迫力は大変なものといえる。
「展覧会の絵」のストコフスキー編は、ラヴェル編とは曲数も異なるが、色彩鮮やかに、重厚な響きを随所に生かして原曲の雰囲気を巧みに伝えている。
演奏も編曲の特徴を明快に生かしており、メリハリのきいた壮麗な演出が聴きものだ。
ストコフスキーはアメリカでも「歪曲の巨匠」と専門家からは敵視されたが、一般の愛好家にはそれ故に受け入れられた。
そのマジックを解く鍵が、この演奏には隠されていると思う。
新派悲劇の大愁嘆場も、ときには楽しいものである。
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