2009年08月25日
クーベリックのモーツァルト:後期6大交響曲集
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それぞれの曲が名演中の名演であり、シンフォニー・コンサート風の演奏形態による録音では第一に推したい傑作である。
アンサンブルがよく整頓されているだけでなく、その美感がモーツァルトの陰影にみちた内面と深く結ばれているのだ。
クーベリックの演奏には、どの部分を採っても雄渾な力や繊細な美感が共存しており、それが古典の気品を感じさせる。
同じドイツ音楽の伝統の中に生きた指揮者でも、ベームが構築的な美感を重んじたのに対して、クーベリックは、適度にロマンティックで、しなやかな音楽を作り上げている。
ここでも、優雅で、気品のある演奏となっており、美しい余裕をもって歌われたその演奏の風格豊かな味わいが忘れられない。
安定した構成力で、恰幅のよいモーツァルトが仕上げられている。
伝統的であって、その最良の部分をしっかり踏まえた演奏内容といえよう。
「ハフナー」は祝典的な明るさと円熟期のモーツァルトの力強さや厳しさをのびやかなスケールで掬いとって格調高く、細部まで晴朗なロマンと美しい歌をたたえている。
「リンツ」では、抑制された表現を行いながらも、モーツァルトの音楽のもつロマン性を浮き彫りにした演奏である。
「プラハ」は、この曲のもつ愉悦感を見事に引き出した演奏で、旋律の歌わせ方のうまさは特筆に値する。
「39番」は、冒頭からどっしりとした表現力で貫かれ、それが最後まで立派に持続している。堂々とした風格をもったモーツァルトだ。
「40番」は、多少なりとも響きがたっぷりとしすぎる傾向はあるものの、充実した内容の曲だけに、こうしたアプローチも余裕をもって受け止めることができるだろう。
「ジュピター」は、いかにもクーベリックらしい、豊かな情感にみちたモーツァルトである。音楽をごく自然に流しながら、旋律を美しく歌わせているところに惹かれる。
バイエルン放送響も奥行きのあるところを示している。
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