2009年08月26日
コープマンのバッハ:管弦楽組曲
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オリジナル楽器による演奏の中では、コープマン指揮アムステルダム・バロック管の再録音が、考証のしっかりした素晴らしい演奏を聴かせる。
コープマンはオリジナル楽器の素朴な味わいを現代的感覚でまとめているところが魅力的で、精緻に整えられた合奏はまことに爽やかですっきりと仕上がっており、古き良き時代を偲ばせる要素を多分に持っているようだ。
コープマンの表現はただ単に雅やかな、宮廷ムードを漂わせるだけでなく、積極的にバロック的な強弱の表情をはっきりと付け、かなり攻撃的ともいえる面白い表現を行なっている。
古楽器を使いながらも表現はかなり現代的にスマートで、若々しく実に新鮮だ。
そしてアムステルダム・バロック管のメンバーが実に優秀で、ヴィブラートを極力排した弦楽器、それにピッチの低い管楽器を用いて、寸分隙のない優れたアンサンブルを展開している。
全曲中の聴きものの第2番では、ハーツェルツェトのフラウト・トラヴェルソが光っている。
しかも協奏曲風ではなく、あくまでもメンバーの一員のような形で演奏されているところが面白い。
第3番ではこの楽団の主軸ともいえる弦のアンサンブルが見事で、「エア」など心を吸い寄せられるような美しさだ。
オリジナル楽器によるバッハ演奏としては、今のところベストといっていいだろう。
また管弦楽組曲全曲がディスク1枚に収録されている点も魅力的だ。
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コメント一覧
1. Posted by 水口 峰之 2009年08月29日 09:16
今回もトラックバックをしていただいてありがとうございます。
僕にとってはこのCDはあまり際立っておもしろいとかいいとか言う印象がなかったので今回の貴兄のおすすめとしては意外でした。
コープマンはモーツァルトやヘンデルでは天真爛漫な自由さがあって素晴らしい発見いっぱいの演奏をしています。でも特にバッハとなると急に抑え付けられてしまう印象を受けるのです。多くの演奏家にとってベートーヴェンやブルックナーがそうであるように、彼にとってはバッハが「かくあるべし」動かせない者なんでしょうかね。古楽器系の個性的な演奏のなかにあってとてもこの演奏には窮屈な印象をうけてしまいます。旧盤よりは技術的にはいいんですけどね。
80年代の録音ですが、ゲーベルとMAKとの演奏なんかは今聞いても「バッハ」の重圧からの開放感がとても魅力的ですよ。また、これも十年以上前の録音ですが、P.ピケットとニューロンドンコンソートとの演奏は作曲当時のドイツの田舎町で演奏しているような、妙な古式ゆかしさがある演奏でした。ぜひ取り上げてくださいね。
ところで最近コープマンさんは指揮活動しているんですか?もしご存知ならお教えください。
僕にとってはこのCDはあまり際立っておもしろいとかいいとか言う印象がなかったので今回の貴兄のおすすめとしては意外でした。
コープマンはモーツァルトやヘンデルでは天真爛漫な自由さがあって素晴らしい発見いっぱいの演奏をしています。でも特にバッハとなると急に抑え付けられてしまう印象を受けるのです。多くの演奏家にとってベートーヴェンやブルックナーがそうであるように、彼にとってはバッハが「かくあるべし」動かせない者なんでしょうかね。古楽器系の個性的な演奏のなかにあってとてもこの演奏には窮屈な印象をうけてしまいます。旧盤よりは技術的にはいいんですけどね。
80年代の録音ですが、ゲーベルとMAKとの演奏なんかは今聞いても「バッハ」の重圧からの開放感がとても魅力的ですよ。また、これも十年以上前の録音ですが、P.ピケットとニューロンドンコンソートとの演奏は作曲当時のドイツの田舎町で演奏しているような、妙な古式ゆかしさがある演奏でした。ぜひ取り上げてくださいね。
ところで最近コープマンさんは指揮活動しているんですか?もしご存知ならお教えください。
2. Posted by 和田 2009年08月29日 13:34
水口さん、真摯なご意見ありがとうございます。
度肝を抜くような快速さで驚かせたのはMAKの演奏でしたが、それは一種のスポーツ競技の爽快さとスリルをもたらしてくれたものの、繰り返し聴くうちに、音楽の重要な要素がどこか欠けているような物足りなさを覚え、いつしか聴かなくなってしまいました。
翻って、トン・コープマンの率いるアムステルダムの名手たちの音楽はすこぶる表情豊かで、聴く度にバッハ音楽の神髄のようなものの新たに発見に導いてくれます。
MAKのような誇張的表現によらず、音楽の愉悦と管弦楽曲としての妙技性を十分に楽しませてくれます。
度肝を抜くような快速さで驚かせたのはMAKの演奏でしたが、それは一種のスポーツ競技の爽快さとスリルをもたらしてくれたものの、繰り返し聴くうちに、音楽の重要な要素がどこか欠けているような物足りなさを覚え、いつしか聴かなくなってしまいました。
翻って、トン・コープマンの率いるアムステルダムの名手たちの音楽はすこぶる表情豊かで、聴く度にバッハ音楽の神髄のようなものの新たに発見に導いてくれます。
MAKのような誇張的表現によらず、音楽の愉悦と管弦楽曲としての妙技性を十分に楽しませてくれます。