2009年08月30日
デュトワのバルトーク
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ショルティ指揮シカゴ響と対照的なのがデュトワ指揮モントリオール響で、デュトワは「管弦楽のための協奏曲」から民俗臭を抜き取り、実に洗練された都会的な感覚で、透明なサウンドの音楽に仕上げている。
「オケ・コン」は木管、金管、打楽器のプレイヤーたちの腕が達者でないと、どうにもサマにならない演奏になる。
しかし、この演奏にはそうした心配は少しもない。デュトワの綿密で、しかも鋭い棒が、楽員たちの実力を充分に発揮させているからだ。
第4楽章など、緩急の対比をくっきりとつけながらハンガリー的熱狂を見事に表出しているし、第5楽章も目の覚めるようなアンサンブルでたたみこんでいく。
これほどエレガントなバルトークは、そんじょそこらにあるものではない。
しなやかに各フレーズは歌われ、協奏的な名人芸もやり過ぎることなく、あくまで上品に典雅にソロを聴かせる。
「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」でもデュトワは極めて洗練された表現で、美感に溢れた都会的なアンサンブルに特色がある。
デュトワの卓抜な演出の光る演奏で、第1楽章の、あのミステリアスで不安定な表情づけからして、ひきつけられるし、熱っぽくエネルギッシュな第2楽章や、打楽器とチェレスタの妙技の光る第3楽章など、実に素晴らしい。
いわゆる民族的な雰囲気に寄り掛からぬ、純音楽的な要素だけで、これ程の名演を達成したデュトワの実力は本当に凄い。
モダン・ミュージック嫌いは、ぜひこれに一度耳を傾けて欲しい。
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