2009年09月04日
C・デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデンのシューベルト:交響曲全集
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数多いシューベルトの交響曲全集の中で、これほど全曲が均質化され、気高く交響的な美感をもって演奏された例は少ないだろう。
シューベルトのなかにある独自の孤独感や、祖父がシュレージェン地方の農民であったという血の表明をドイツ的な堅実さで確実に表出し得ている。
全8曲どれをとってもむらがなく、禁欲的な節度と気品を持った演奏だ。
ウィーンの伝統である楽天性や感傷とは一線を画しているが、そこにシューベルトの孤高の心情を描いており、ドイツ的ともいえる堅実な感触が、第5番までの初期交響曲から堂々とした交響性を引き出している。
「未完成」では第1楽章の雄大なスケールと第2楽章の内面の豊かな歌、「ザ・グレイト」での山脈のように聳え立つ緊密な構築も特筆して良い。
さらに、シュターツカペレ・ドレスデンのふくよかな響きが素晴らしい雰囲気を味わわせてくれる。
美しく格調高く温かいシューベルトだが、晴朗な響き、清らかな歌の狭間に、ときに一瞬、作曲家の切ない溜め息が聞こえ、恐ろしい心の暗黒が覗く。
凄い。
シューベルトの本質を衝いた秀演である。
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