2009年09月13日
カラヤンのマーラー:大地の歌
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私がカラヤンのマーラーの中で最も好感を抱いているのは、もしかすると「大地の歌」かもしれない。
この「大地の歌」は、マーラーが李白ら中国の詩人の歌詞に作曲したものだが、カラヤンとベルリン・フィルが奏でる豪華な音楽は、意外にも、この中国風の情景とぴたりと一致する。
はるか遠くにだけ存在するもの、あるいはもはや存在しないものが、束の間だけきらびやかに目の前に姿を現すといった感じがよく出ているのだ。
カラヤンの甘美な音楽が、マーラーが描き出すノスタルジーの世界と驚くほど重なりあっているのだ。
この曲には、色々な楽器のソロが登場してくる。ちょうど、劇の登場人物のように、それぞれの楽器に表現が託されている。
それにやりがいを感じたのか、ベルリン・フィルの奏者たちがすばらしく入念な演奏を聴かせてくれるのだ。とりわけ木管楽器の千両役者ぶりはたいへんな耳のごちそうである。
そうやって極彩色の情景が次々に目の前に広がるのだが、過ぎ去る人生の幸福が、豪華さの中で歌われるからこそ、いっそう儚い。
テノールとアルト歌手も、実にいい。テノールのルネ・コロは甘い声質が悲劇性をいっそう高め、アルトのクリスタ・ルートヴィヒの耽美的な、今この瞬間を愛でるような歌い方も好ましい。
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