2009年09月14日
クレーメル&アーノンクールのベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
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新手の必殺技で常に新風を送り込むクレーメルだが、異彩を放つ"裏技"を使ったのがこの演奏だ。
なんと言ってもカデンツァが目玉で、作曲者自身がピアノ協奏曲に編曲した版のカデンツァをそのまま下地に使ってしまうという"暴挙(快挙?)"に出た。
ピアノに加えティンパニまで登場する無類の面白さ!
しかしこれを取り込めるだけの進取の気性にとんだ表現解釈があってこその物種。
クレーメルはやはり奇才である。
クレーメルの3度目の録音で、その演奏は前2作以上に個性的であるとともに、表現の細部まで厳しく磨き抜かれており、リズムや強弱の変化が鮮やかなアーノンクールの指揮も、シャープに研ぎ澄まされたクレーメルのソロにふさわしい。
恰幅の良さや偉容を誇る演奏ではないが、緻密な音と引き締まった感覚で鋭利な表現を自在に織りなした演奏は、まことに彫り深く充実している。
クレーメルのソロはいっそう研ぎ澄まされ、変幻自在にベートーヴェンの音楽を歌い続けていく。
特に、ピアニッシモでの表現の冴えた美しさはクレーメルならではのもので、この演奏の印象をいっそう鮮烈にしている。
そうしたソロをしっかりと支えるとともに、時にはソロに挑発をしかけるのがアーノンクールの指揮である。
彼はここでもベートーヴェンを博物館的な古典ではなく、今日の聴き手に積極的なメッセージを発するアクチュアリティを持つ作品として扱っている。
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コメント一覧
1. Posted by yositaka 2009年09月19日 18:47
ティンパニが高らかになるカデンツァ、といえば、確かシュナイダーハンとヨッフムの共演盤(グラモフォン)もそうだったし、さらに古いベームとシュトループの盤(ザクセン時代のSP復刻)もそうでした。しかし詳細に聞き比べたことがなく、ピアノ編曲版のカデンツァに準じたものか、それともアイディアだけ借りたものかは不明ですが、実に興味深いですね。
2. Posted by 和田 2009年09月20日 08:21
yositakaさん、コメントありがとうございます。
私もきちんと聴き比べてないのですが、いかにも奇才クレーメルらしい発想で、面白いと思います。
バーンスタインと共演したブラームスのコンチェルトのレーガーによるカデンツァも良かったですが、創造性という点でクレーメルはこのベートーヴェンで新境地を示したといえるでしょう。
私もきちんと聴き比べてないのですが、いかにも奇才クレーメルらしい発想で、面白いと思います。
バーンスタインと共演したブラームスのコンチェルトのレーガーによるカデンツァも良かったですが、創造性という点でクレーメルはこのベートーヴェンで新境地を示したといえるでしょう。