2009年09月21日
アーノンクールのベートーヴェン:交響曲全集
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アーノンクールの初のベートーヴェン/交響曲録音で、ヨーロッパ室内管(無論モダン楽器)との1990年〜91年にかけての5回にわたる演奏会でのライヴ録音をまとめたものである。
アーノンクールとヨーロッパ室内管の録音もこれが初めてであった。
オリジナル楽器演奏法を駆使したモダン楽器による演奏。
勁さとしなやかさを兼ね備えた9曲の演奏である。
アーノンクールのこれまでのバロックや古典派におけるすぐれた仕事の蓄積のすべてが基礎になって、輝かしいベートーヴェンの解釈を生んでおり、全9曲が一貫してベートーヴェンの本質である意志的な強靭さを端的に表出している。
ベートーヴェンの交響曲を、ロマン派以降に形成された解釈の伝統を通してではなく、それ以前の音楽の演奏法に照らし合わせて解釈し直したアーノンクールならではの演奏。
それによって、ベートーヴェンが先人から学んだことが明らかになるとともに、どこに彼の独創性があるかということも明確になる。
そして、すべての演奏を貫くのは音楽することへの素直な喜びであり、その豊かな生命力もこの全集の大きな特徴といえよう。
そこではヨーロッパ室内管の若く能力の高い奏者たちが、アーノンクールの音楽に心酔しながらもてる力を存分に発揮している。
管楽器をダブらせない中間的なサイズの編成と、鋭敏な若いオーケストラのライヴでの熱意が、どの曲にも今ペンから生まれたばかりのような張り切った演奏を可能にした。
一方でアーノンクールは、トランペットにだけは古いナチュラル楽器を使うこだわりも見せている。
最も主張に満ちたインパクトの大きいベートーヴェン全集ではなかろうか。
ベートーヴェン解釈の新しい可能性を提示した記念碑的な録音である。
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