2009年06月05日
モリナーリ=プラデッリのヴェルディ:運命の力
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1950年代から60年代前半にかけてのビッグ・レーベルのオペラ全曲録音は、新進気鋭と専属契約し、自らスターを育成する意欲と情熱と誇りにあふれ、各レーベルが凌ぎ合ってユニークな名盤を生んだ。
英デッカは強烈な個性を擁するとともに、耳で勝負のオペラとしての声の音色の調和も入念に配慮したが、「運命の力」は他社に先駆けたステレオ録音により、戦後のオペラ黄金時代の中心となったオール・イタリア人のベスト・メンバーを結集し、熟練のモリナーリ=プラデッリに指揮を任せた。
当時の最高のキャストを集めた名盤である。
テバルディのレオノーラの歌唱がきれいごとにすぎ、デル・モナコは愛に生きる男としての心情が弱いうらみがあるが、声の輝きと威力が僅かの不満を吹き飛ばす。
これほど充実した「運命の力」は滅多に聴くことができない。
それは単にキャストの表面的な豪華さのためではない。
全盛期のテバルディやデル・モナコの声は確かに素晴らしいが、聴き手を感動に導くのはその声自体の美しさではなく、その豊かな響きによって明らかにされたヴェルディの音楽の魂であり、そこに結実したドラマの見事さに他ならないのだ。
このオペラの全貌を知ることができる貴重な記録といってよい。
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