2009年10月01日
ボールトのヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集
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レイフ・ヴォーン・ウィリアムズはショスタコーヴィチと並ぶ20世紀の偉大なシンフォニストだったことを忘れてはならない。
1910年に完成した最初の「海」の交響曲から死の年の交響曲第9番に至るまで、偶然ではあるがちょうどジンクス通りの9曲の交響曲を残している。
スタイルとしては、映画音楽から編まれた5楽章制の「南極交響曲」を唯一の例外としていずれも4楽章制の伝統的な枠組みを持つが、民謡を取り入れるなどの民族的な要素が含まれたり、場面によっては斬新なテクスチャーを見せる部分もあり、決してアナクロニズムにに終わっていない。
一般的には第1番「海」、第2番「ロンドン交響曲」、第5番、第7番「南極交響曲」の4曲が最も人気のある作品だろうが、それ以外の作品も親しみやすい中にもシーリアスな内容を持った優れたものなので、ここでは全集として取り上げたい。
ボールトは無骨ともいえる重厚な表現で、エルガーの流れを汲むスケールの大きい交響曲の世界を引き出している。
エルガーの場合とは異なり、より精緻なニュアンスを求めたくなる場面も多々あるが、抑揚の大きいドラマティックな表現は、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲のシーリアスな面を抉り出す結果になり充実している。
ヴォーン・ウィリアムズはボールトのリハーサル、本番にしばしば立ち会い意見を語り合い、公私とも深い絆で結ばれていた。
ボールトの頭の中には、ベートーヴェンの交響曲と同様に9曲のスコアの隅々までが、作曲家の肉声とともに収まっていた。
ただ録音年代がばらばらなのと3つのオーケストラが使用されているため全体として統一感に欠ける部分があるのが残念だ。
それでもスタンダードな全集であることは間違いない。
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