2009年10月23日
クレンペラー&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第9番
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
クレンペラー&ウィーン・フィルのマーラー「第9」は、スタジオ録音よりもいっそう深く、大きく、気高い演奏だ。
かつて私の最愛の演奏は、バルビローリ&ベルリン・フィルであったが、最近は、クレンペラーの方が次元が上だと思うようになった。
クレンペラーの凄みは、その冷徹さにある。否、冷酷さと言い換えてもいい。マーラーが五線紙に書き付けた死への恐怖、生への執着を情け容赦なく、ただただ克明に音にしていく。そこに同情や憐憫などの入り込む余地がない。
バーンスタインやバルビローリがマーラーと一体になったように自己を作品に没入させるとき、クレンペラーは作品を突き放すかのように見える。
では、クレンペラーは、まったく他人事のように師の作品を指揮しているのだろうか。断じてそうではない。
クレンペラーはその精神の深いところで、マーラーの苦悶を感じているのだ。まるで、末期ガンを患う専門医が己の余命を正確に計るような残酷なほどの共感がここにはあるのである。
その客観性、冷静さが尋常ではない。
クレンペラーはこのマーラーに自己の晩年の心境を託しているように思える。
表面的な効果を狙うことなく、意志的にコントロールされた音楽が淡々と歌う。
深遠なきわめて人間的なマーラーであり、終楽章は意外な明るさを感じさせるのがかえって感動を誘う。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。