2009年10月27日
ワルター&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第9番
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ワルター戦前のウィーン・フィルとの最後の録音のひとつとなった、歴史的名盤である。
もしかするとこれはある種別格の録音なのかも知れない。
1938年、ワルターが不穏な情勢の中で振った美しくも凄まじいマーラー演奏。
録音の古さは否定しがたいけれども、その折の無比の熱気は現在でもストレートに伝わってくる。
気迫のこもった粘りのある演奏で、アクセントが時に大変激しく、強弱の落差も極めて大きい。
起伏に富む叙事詩的な語り口だが、表情には即興的な趣があり、終楽章の表現も濃厚で、決して遅くはならず、積極的に進められる。
ワルターならではのロマンティックな情感もさることながら、特に第3楽章を中心として極めて激しい気迫、鋭角的なアゴーギク、尖鋭な推進力が目立ち、それは聴く側に一種の危機感すら覚えさせる。
唯一的な歴史的録音のひとつであり、そこに言うなればこの交響曲の一種死を予感させる音の錯綜を通じて、社会情勢の一触即発的な空気までを見事にリアライズしたものと評することもできそうである。
マーラー・ファンには決して聴き逃すことのできない1枚といえよう。
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