2009年10月30日
インバルのマーラー:交響曲第3&4番
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「巨人」や「復活」に比べ、「第3」のインバルの指揮は上をいく出来である。
指揮者の解釈と意図の細部までが、どの奏者にも徹底しており、指揮者とオーケストラの関係が非常にしっくりとしているのが良く分かる。
そして、マーラーの楽譜が驚くほど綿密に研究され、分析的な構成美をいかん無く発揮している。
いかにもユダヤ人の指揮者らしく、旋律をたっぷりと、豊麗な音色で歌わせた演奏である。
第1楽章からして、各パートの複雑きわまりない旋律を、きわめて精密に表現し、各動機や主題を見事に処理しているが、ことによいのは耽美的な気分にあふれた終楽章で、やや遅めのテンポでじっくりと表現している。
長大な第1楽章を1枚に収め、第2〜6楽章を2枚目に収録した方法も賛成。
「第4」は感興のおもむくままに、明るく天国的な美しさを表現した演奏である。
旋律を思う存分歌わせながら、きわめてロマンティックな表現だ。
インバルは、マーラーがスコアに書き込んだあらゆる指示を精密に検討し、可能なかぎり忠実に実践しようとする。
彼の資質である抒情性と、知的で清潔な音楽性が発揮された演奏であるといえる。
それは晴朗そのものであり、無理のない流麗な表現である。
フランクフルト放送響も、ドイツのオーケストラだけに骨格がしっかりとしており、アンサンブルも緊密である。
終曲のドナートは巧緻で、歌の内容を深い抒情感で示し、豊かな風格を感じさせる。
このオケと指揮者のマーラーの中では、濃厚な演奏である。
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