2009年06月19日
デュトワのチャイコフスキー:大序曲(1812年)、スラヴ行進曲、ムソルグスキー:交響詩(はげ山の一夜)、組曲(展覧会の絵)ラヴェル編
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名指揮者アンセルメのように、ラテン的感性でロシア音楽を仕上げた演奏である。
デュトワはロシア音楽を泥臭く演奏するのではなく、全体に大変さわやかにテキパキと、しかも作曲者の色彩的なオーケストレーションを巧みに再現しており、その上にロシア的情感をうまく味付けしている。
洗練されたアンサンブルと軽快な表現が魅力的だ。
「1812年」ではシンセサイザーが巧妙に用いられ、いかにも現代的。
「スラヴ行進曲」は、いくぶん力で押しまくった演奏だが、メリハリをきちんとつけた、劇的な演奏を行っている。
「はげ山の一夜」は、デュトワの巧妙な演出が素晴らしく、ロシア的情感を、かなり色濃く表出しながら、スケールの大きな演奏を行っている。ただし、もうひとつ泥臭さといったものが欲しかった。
「展覧会の絵」は、ショルティと対照的な演奏で、極めて淡彩なサウンドと軽い感じのタッチは、ショルティが油絵なら、このデュトワはパステル画の趣である。
エレガントというのか洒落たというのか、ラテン的な洗練味を極めた演奏で、野蛮さの全くない、美麗この上ない名演といえる。
モントリオール響の管楽器のソロは、フランス風の洗練された美しさを聴かせ、全体に高雅で気品のある演奏に終始している。
各曲の表情はほどよく整理され、重苦しくなることなく、スリムなプロポーションで、それが魅力の〈展覧会の絵〉の演奏である。
多様に変化するリズムも、デュトワならではの抜群の感覚で処理していて、あ然とするほど巧妙な棒さばきだ。
ことに「古い城」と「キエフの大きな門」は見事である。
過度な緻密さや瞬発力を避け、あくまでも都会志向というよりは、ムソルグスキー寄りであるよりも、ラヴェル寄りの解釈と解した方が良さそうだ。
洗練された明るい響きが聴け、この編曲がラヴェルの手によってなされたという事実を改めて気づかせてくれるような演奏内容といえよう。
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