2009年11月01日
トスカニーニ&NBC響のチャイコフスキー:マンフレッド交響曲/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
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トスカニーニ盤は、音質こそは古さを感じさせるが、その内容のみに目を向ければ、やはり最も理想に近い演奏と考えてよいだろう。
そこでは、楽曲の把握や演奏設計がほとんど完全なだけでなく、そのレアリザシオンもがほとんど完全で、さらにみずみずしいカンティレーナの魅力にも充ち溢れており、三拍子そろった名演を味わうことができる。
交響曲では一点の曖昧さも残さない、いわば裸身のチャイコフスキーだ。
徹底した明るさへの志向が、トスカニーニ独自のコクのある歌と相まってリアリスティックな表現を作っているが、第1楽章では期せずしてそこに堂々とした風格が示されている。
抒情的要素をかなぐりすて、粗野なほどに逞しいダイナミズムを生かし、かつ簡潔に曲の雄大な主旨をえぐり出した音楽的な「マンフレッド交響曲」である。
そして、この演奏ほどトスカニーニの形式主義者の特徴を発揮した例は少ない。
それは第1楽章にもよく表われているが、終楽章の構成的解釈にいっそうはっきり出ている。
整然たる楽式の感覚から割り出した純音楽的な演奏だ。
「ロメオとジュリエット」もトスカニーニ風で、端正に造形されており、劇性と抒情性の両者を満足させた演奏だ。
演奏はやや緊張感に乏しい雰囲気で始まるが、曲が進むにつれて素晴らしい高揚感を示してくる。
録音状態も優れており、NBC交響楽団の卓越した演奏を聴くことができる。
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