2009年06月23日
スメタナSQのドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」/チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番(EMI盤)
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スメタナ四重奏団は、この《アメリカ》四重奏曲を全部で5回録音している。
そのうちこの演奏は1966年に行なわれた2回目の録音で、その後10年以上経ってから、さらに3回録音している。
その3回の中で、1978年と1980年のものはいずれも日本での演奏会のライヴ録音で、これらを聴くとテンポ感や表現法がほとんど変わっていないことに気づく。
ということは、彼らがこの曲の表現を完全に確立し、いつどこで演奏してもひとつのスタイルに常に仕上げられるということである。
それ自体は素晴らしいことなのだが、ややもすれば演奏の持つ内的な緊張感とか迫力の不足を感じさせる。
ここで1966年の演奏を最上のものとした理由はそこにあり、彼らがまだ充分に若さと弾力性をもっていた、全盛時代の演奏が味わえるからである。
チェコのローカル・カラーに寄り掛からない、厳しく純粋な音楽的な名演で、きびきびとしたリズムさばき、そしてノスタルジックに歌われる旋律も美しく、アンサンブルも精緻そのものといえる。
この団体の創立21年目、現在のメンバーに固定されてから10年目のこの演奏には、自分たちがこの曲の音楽をこのように表現していくのだという熱気と溌剌とした情感が、この洗練された演奏の背後に感じられる。
録音そのものは決して良くはないが、演奏本位に考えるとこの演奏は、いまだに充分生命を保っていると思う。
チャイコフスキーも、彼らの全盛時代のレコーディングだけに、アンサンブルも緻密そのものだし、素朴な歌いぶりで、チャイコフスキーのノスタルジアを美しく表現している。
ロシアロシアした気分は幾分希薄だが、それだけに音楽としてのプロポーションは、純粋でもありまた格調も高い。
スメタナ四重奏団のメモリアルとしても、これは恰好の1枚といえるだろう。
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