2009年06月25日
ノーマン&小澤のビゼー:カルメン
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ジェシー・ノーマンのタイトル・ロール、小澤&フランス国立o.という話題の顔合わせとなっていた「カルメン」。
ノーマンのカルメンは初めて(舞台でも歌ったことがないと言われる)。
小澤の円熟が際立つ名演だ。
小澤の指揮はフランス風とでもいえる軽快で明るいもので、悲劇のわりにはからっとしているのが特徴だ。
ビゼーの音楽の生き生きとした活力、そこに躍動する色彩を、そしてそれが表現する生々しい性格やドラマを、小澤は狙った獲物を捕らえる野獣にも似た動物的本能をもって見事につかみ、かつ鮮やかに描き尽くす。
正確なテンポ、リズムを支えに精巧に仕上げられていくその音楽は交響楽的と言えようが、豊麗で力強い盛り上がりから繊細なディミヌエンドに至るまで、どの部分も表現が生きている。
ソプラノのノーマンがカルメンだが、このカルメンは貫録充分で、シコフ(T)が演じるドン・ホセが可哀相になるほど、堂々として奔放な名演になっている。
ノーマンのカルメンは娼婦的な面を表に出しすぎず、死を恐れずに受容するカルメン像を創造していく。
その点で、ベルカンサとの共通項が認められ、終幕の二重唱などは死の予告の重唱のように響く。
エスカミーリョはエステス(Bs)で、この黒人のバスはやや重苦しい。
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コメント一覧
1. Posted by Goodweather 2009年06月30日 22:18

またまたノーマンの録音を取り上げて頂きまして本当にありがとうございます。
実は私はこの小澤征爾指揮ノーマンの【カルメン】の録音のドキュメンタリー映像を持っています。専属のフランス語スタッフに指導を受けながらノーマンは一見淡々と、しかしかなり注意深く集中力を持ってカルメンを歌っていました。
特に最終幕の最後の場面、カルメンがホセに刺される場面などはシコフが思わずノーマンの頬にキスする程の演奏であった様子が写されています。私自身はアグネス・バルツァの【カルメン】の映像を見慣れていたためか、ノーマンのカルメンの雄大さというか自由さというか、ちょっとビックリしたのですが(笑)
ノーマンは小澤征爾と色々共演していますので(ストラヴィンスキー【エディプス王】など)聴いていても映像を観ていても不自然さが無いように思いました。
サイモン・エステスはワーグナーの【さまよえるオランダ人】のタイトルロールや、ヴェルディ【アイーダ】のアモナズロを歌っているバリトンなので、エスカミーリョには少し重い声ですね。私はエステスは好きなんですが(笑)
2. Posted by 和田 2009年07月01日 20:22
Goodweatherさん、コメントありがとうございます。
私にとってはマリア・カラスのカルメン像が強烈で、その呪縛を解いてくれたのが、ジェシー・ノーマンでした。
既にご存じのごとく、ノーマンは選曲にも慎重で、構えの大きな曲を採り上げているのも、ノーマンの歌いぶりと声にはふさわしいと思います。
そのドラマティックな歌唱、スケールの大きさにおいて、やはり抜群の魅力を感じるのです。
私にとってはマリア・カラスのカルメン像が強烈で、その呪縛を解いてくれたのが、ジェシー・ノーマンでした。
既にご存じのごとく、ノーマンは選曲にも慎重で、構えの大きな曲を採り上げているのも、ノーマンの歌いぶりと声にはふさわしいと思います。
そのドラマティックな歌唱、スケールの大きさにおいて、やはり抜群の魅力を感じるのです。