2009年11月07日

フルトヴェングラーのモーツァルト:ドン・ジョヴァンニ


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



1954年ザルツブルグ音楽祭公演のライヴ録音。

これは、劇的で変化に富んだこの作品の性格を見事にとらえた卓抜な演奏で、フルトヴェングラーならではの悠容迫らぬ芸格の高い表現には、心を打たれる。

ロマン的で、しかもデモーニッシュな素晴らしい「ドン・ジョヴァンニ」だ。

低弦に支えられたコードの厚みと、心臓をえぐるようなタッチの重みなどは、フルトヴェングラー・ファンならずとも、すぐそれとわかるような性質のものだ。

テンポは概して遅めだが、そのことが音のひとつひとつに実質と表情を与えることにつながっている。

このオペラのある部分は、象徴劇や表現派演劇の世界に近づいているが、18世紀のこれ以外のオペラとこの傑作とを隔てるそうした鬼気迫る深い淵を誰よりも実感させるのがフルトヴェングラーの指揮だ。

作品のオペラ・ブッファ的側面を切り捨てて、シーリアスなドラマの追究に徹したロマン派解釈の名演である。

歌手達もそれぞれ強い個性と大きな音楽性の持ち主で、彫りの深い配役だ。

戦後最高のドン・ジョヴァンニとうたわれたシエピのタイトル・ロール、愛と憎しみの狭間に揺れるエルヴィーラを歌わせてはこれまた戦後その右に出る歌手を知らないシュヴァルツコップ、それにグリュンマーのドンナ・アンナ、ベルガーのツェルリーナ、エーデルマンのレポレロと顔を揃えた歌の充実ぶりも、他の録音の追随を許さない。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 09:30コメント(2)シエピ | フルトヴェングラー 

コメント一覧

1. Posted by フンメル   2009年11月07日 23:33
ども。

ドン・ジョヴァンニは、いまだにこの盤と、カール・ベームのウイーンフィルのライヴ盤(ミルンズ主演の新しい方)が僕のベストです。

このオペラだけは「エロ」と「デモーニッシュ」を極端に演出してほしいのです。

その点で、フルトヴェングラー盤、大好きです。
2. Posted by 和田   2009年11月08日 10:21
フンメルさん、コメントありがとうございます。
フルトヴェングラーの演奏はテンポは遅く、歌手たちの声質もブッファ的な軽快さやギャラントな小味さよりもドラマティックな性格なために音楽はドラマティックな深淵に向かって没入していきます。
かといって重苦しくなりすぎず、パセティックな緊張の中にも一種の透明さを湛えています。
このオペラの十全な姿ではありませんが、一つの最も徹底的な表現とはいえるでしょう。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ