2009年11月08日
ストコフスキーのリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」/スペイン奇想曲
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ストコフスキーは「シェエラザード」を全部で5回録音したが、最も彼らしい主張が生かされたのは、ロンドン響とのこの演奏といっていい。
ストコフスキーが大変得意としていた曲だけあって、さすがにうまいものだ。
全体にテンポを遅めにとり、旋律をたっぷりと歌わせながら、この曲の持つ東洋的な雰囲気を巧みに表出している。
彼一流の粘りの強い表現が少々気になるが、聴かせどころのツボをよく押さえた実に達者な演奏だ。
ストコフスキーはスコアを自由自在に改竄し、独特のアクの強い表情を付け加え、実にドラマティックに曲を盛り上げている。
まったくのストコ節ともいえる独特の表現だが、面白く聴けることに関してはこれに優る演奏はちょっと想像することができない。
またロンドン・レーベルご自慢の「フェイズ・4」システムを駆使して、ソロ楽器を思い切りクローズ・アップして、トロンボーンが右チャンネルから堂々と聴こえたりして、トリックの用い方も堂に入っている。
あまりにも仕掛けが多く、品格を欠いているようにも感じられるが、曲そのものがスペクタキュラーなのだから、ストコフスキーの行き方も是認されよう。
ただストコフスキーにはもう1枚、ロイヤル・フィルを指揮したCDもあったが、こちらは4つの楽章を切れ目なく繋げただけで、演奏そのものはあまり面白くない。
「スペイン奇想曲」は大仕掛けが至る所に見られ、名人芸に事欠かないが、全体にかなりもたれ、響きの汚れが気にかかる。
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コメント一覧
1. Posted by gkrsnama 2009年11月09日 23:05
ストコフスキーはこの曲を外面的なスペクタクルとしてやってる。これはこれでいいんだけどね。驚愕したのはチェリビダッケ(シュツットガルト)の海賊盤。微妙なニュアンスや色彩感が揺れていて、ものすごい。世評たかいカラヤンは彼としては普通の出来(驚愕はしない)。
日フィル団員によるとマルケビッチのがいいらしいけど、聞いたことはありません。
日フィル団員によるとマルケビッチのがいいらしいけど、聞いたことはありません。
2. Posted by 和田 2009年11月10日 02:58
gkrsnamaさん、さすが鋭いところ突きますね。「シェエラザード」は確かにチェリの海賊盤が最も凄絶で美しい。
ところでEMIとDGから出ているチェリの正規盤は必ずしもチェリのベストではないものが多いと思いませんか?特に「ブラ4」や「ブル8」なんかは。
マルケヴィッチのはちょっと入手困難ですね。
ところでEMIとDGから出ているチェリの正規盤は必ずしもチェリのベストではないものが多いと思いませんか?特に「ブラ4」や「ブル8」なんかは。
マルケヴィッチのはちょっと入手困難ですね。