2009年06月25日
ムーティのレスピーギ:ローマ三部作
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
ムーティがフィラデルフィア時代(1980-1992)に残した記念碑的名盤。
ムーティがフィラデルフィア管弦楽団に着任して、最初に放ったビッグ・ヒットといえる。
ムーティのこの演奏では、みずみずしくのびやかなカンティレーナ、ダイナミックで壮麗な造形感覚、明快でメリハリの効いた語り口、切れがよく弾力性のあるリズムなど、イタリア人ならではの持ち味が十二分に生かされ、それが作品の本質を見事にとらえた表現を実現させている様相を感じとることができる。
華麗なサウンドといい、素晴らしいオーケストラの名人芸、さらに強烈なカンタービレは、いまだにこの曲のベストの地位は固い。
大先輩たるトスカニーニがNBC交響楽団と残した歴史的名演に、正面から立ち向かっていくような覚悟と熱気が充満している。
ストレートに作品に肉薄していく劇的演奏は43歳のムーティにこそ可能な離れ業だが、奇跡の逆転ホームランをとばしており、現代の《ローマ三部作》として申し分ない出来である。
天性の音色に対する感覚、カンタービレへの熱き嗜好の作品を一段と魅力的にしており、イタリア的テンペラメントをも満喫させる。
ここでムーティは、巧妙な指揮と豊麗な"フィラデルフィア・サウンド"によって、レスピーギの色彩的なオーケストレーションを万全に再現しており、出だしからこのオケの光彩陸離たる音の輝かしさに魅了されてしまう。
緊張感あふれる音のドラマとして描き上げた強い説得力が感じられ、その張りつめた展開の鮮やかさ、そして演奏全体に感じられる熱い興奮と熱気が素晴らしい。
フィラデルフィア管弦楽団も華やかさと同時に密度の濃い表現を聴かせており、スケール感も圧倒的だ。
オーマンディ時代とは異なるシャープさとスピード感を獲得、表現全体が冴え冴えとして輝かしい。
そしてムーティは、このオケの精緻なアンサンブルや重厚でゴージャスなサウンドなども巧みに生かし、演奏のブリリアントな魅力を高めることにも大きな成功を収めている。
豪快な「アッピア街道の松」や詩的な美しさにあふれた「ジャニコロの松」も秀抜だ。
また「祭り」の4曲も立派で、こうしたムーティの卓出した表現力は巨匠トスカニーニを思わせる。
両者のコンビの見事さを後世に伝える、エヴァーグリーン的な名盤といえる。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。