2009年11月10日
マゼール&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲全集
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マゼールとウィーン・フィルによる全集の完成セット。
ウィーン・フィル時代のマゼールのひとつの頂点を築いた演奏といっていい。
ウィーン・フィルの素晴らしさを存分に堪能できるアルバムで、このコンビの充実ぶりを物語る最良の演奏である。
演奏は知的かつ入念・率直で、作品によっては構成の強靭さが印象に残る。
マゼールは、いつもながら細部にわたって十全の目配りで捉え、いささかの隙もみられない。
多様多彩な変化を、がっちりと押さえていく構成力、造形力はマゼールの最も得意とするところ。
変化に富んだテンポの揺れが、心理的に衝撃を与えたり、微妙な刺激を与えたりする。
その過半数はスコアに記されていないような変動だが、マゼールの手にかかると作曲者自らがそう考えて発想されたように聴こえるから不思議だ。
マゼールとしては、珍しいほど感傷的な音楽を作っている。
いささか人工臭もあるが、それはマーラーの本質にも関係していることである。
グロテスクになることを避け、ほどほどの表現強調で止めている演奏が多い今日、マゼールのアプローチは大胆を極め、グロテスクの中から、マーラーの人間性を、ある種の世紀末的デフォルメを含めつつ、明確に表現している。
刺激的な全集、これでマーラーへの関心がいっそうそそられる感じだ。
ショルティなどとは対極的な解釈といえる。
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