2009年11月15日
シノーポリのR.シュトラウス:サロメ
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
シノーポリ初のR.シュトラウス/オペラ録音である。
1970年代後半のカラヤン盤以降は久しく新録音がなかったが、最近になってメータ盤、シノーポリ盤、ナガノ盤と、急に興味深い録音が3点現れた。
このうちナガノ盤は演奏としては注目すべきだが、フランス語の別ヴァージョンに拠っているため同列には論じられない。
シノーポリ盤は、緻密なスコアの読みと、そこから生まれる巨大な音楽的把握、さらにそれを具現する強烈な指揮者の表現意欲が横溢する演奏である。
込み入ったスコアの細部まで明確にしてゆくシノーポリの指揮は、先へ進むほど曲への内面への切り込みの鋭さを加え、ドラマの移ろいをヴィヴィッドに描き出す。
管弦楽の響き、サロメ歌手の選択に彼らしい問題意識がのぞく。
スデューダーのサロメは最初に愛らしい娘で登場し、大詰めで鬼気迫る絶唱を聴かせるまでの性格の変化の表し方が実に鮮やかだ。
彼女の歌唱ともども、カラヤン盤よりも、時代の流れをもう一歩進めた演奏と言えよう。
ターフェルは素質の大きさをうかがわせる歌唱だし、ヒースターマン、リザネク、ビーバーも好演している。
ただ、アール・ヌーボー風の繊細な《サロメ》を目指しているのは面白いのだが、音楽的完成という点でいささか問題意識倒れの感がある。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。