2009年12月19日
ブーレーズ&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第6番「悲劇的」
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ブーレーズがマーラーの交響曲に着手した最初の録音であるとともに、これは同作品の理想的な演奏である。
ライヴでは、おそらくはこんなに鮮やかには聴こえてこないだろう。
複雑な構造の綾を見事に解き明かし、ハイビジョン映像でもみるかのごとくクリアーに描き出す。
しかも大編成のオーケストラの響きの厚みから遠近感まで写しとってしまうのである。
そうした解析度の高さ、解釈の精緻さに、以前は冷たさを感じたものだが、この演奏でのブーレーズにはそれがあまり感じられない。
むしろ歌いまわしの自然さ、雄弁さが際立ち、エモーショナルな流れにも熱っぽさがよく出ているように思われる。
特に第4楽章後半でのゾクゾクするような表現は迫真的で聴きものだ。
起伏豊かでも決して絶叫せず、一途であっても決して切実さは見せないところがブーレーズらしいが、それだけに作品をとらえる視野が幅広く、部分が肥大化された印象は微塵も与えない。
マーラーの内なる慟哭の交響曲もブーレーズの手にかかると音楽史上の大作として見事に再現された存在感がある。
冴え冴えとした美しさとともに、凄みを感じさせるマーラーだ。
これでようやく作品と互角に向き合うことができるようになった。
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