2009年08月01日

カザルス&ゼルキンのベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集


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カザルスは、かつてSP時代に、ホルショフスキーと組んで、全集を録音していた。

それも名演奏だったが、70代になって、ゼルキンと組んで2度目の録音したこの全集も、巨匠カザルスの、ベートーヴェンの音楽への傾倒の深さと、晩年になっても衰えることのなかった高い精神性をあますところなく示した、感動的な名演である。

いくぶんカザルスの主観につらぬかれた、癖のある演奏だが、この巨匠のベートーヴェンの解釈を知ることのできる貴重なディスクだ。

カザルスのチェロには厳しさと暖かさがあり、余分な私情がはさまれていないために、作品そのものから生じる迫力がある。

技巧的な衰えもまったくない。

そして、このアルバムを楽しいものにしてくれたのは、ピアノのゼルキンの協力だ。

彼は室内楽の演奏にかけても定評があり、まことに切れ味のいい演奏をしている。

まさに古典的な格調のある二重奏が繰り広げられているのである。

ここでカザルスが再現しているのは、聴き手を圧倒してやまないベートーヴェンのあの迫力、逞しさではない。

ベートーヴェンの深さ、とでもいったらよいのだろうか、神韻たる趣の演奏である。

「達者に弾いてみせるだけのベートーヴェンはもう結構」という人にぜひお薦めしたい。

きっと新しいベートーヴェンの姿が浮かんでくるに違いない。

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classicalmusic at 18:46コメント(4)カザルス | ゼルキン 

コメント一覧

1. Posted by ZARDのファン   2009年08月02日 14:17
すごく面白いブログですねっ!
また、遊びにきます。
2. Posted by 和田   2009年08月02日 15:50
ZARDのファンさん、コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
3. Posted by yositaka   2009年08月21日 13:07
すてきなレビューです。まさにわが意を得たり。
ホルショフスキやシュルホフとの旧盤ももちろんすばらしい。
特に第2番の凄みには圧倒されますし、3番もチェロにマイクが近く、カザルスの生々しい響きが聴かれます。
一方ゼルキンとの全集は、チェロが奥にこもりがちな音で、最初は気になりますが、聴いているうちに、豊かな音楽そのものに浸る喜びが溢れてきます。技量や音符を超えた、巨人のアンサンブル。若い音楽ファンには、最近流行の軽量級演奏とぜひ聞き比べてほしいものです。
4. Posted by 和田   2009年08月21日 15:57
yositakaさん、コメントありがとうございます。
ここで生み出される音楽の気力と風格は別格で、いまだに聴き手の気持ちを捉えて離しません。
音量の豊かさや音色の多彩さを求めるのではなく、音楽それ自体の豊かさを求める聴き手にとっては、この全集は忘れ難いものになるでしょう。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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