2010年01月14日
フリッチャイのモーツァルト:ミサ曲ハ短調
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フリッチャイ盤はいくぶん録音は古くなったが、モダン楽器による代表盤として、やはり忘れ難い名演である。
1957年から白血病に苦しめられるようになったフリッチャイの音楽は、その後大きな変貌をとげることになる。
1959年に録音されたこのモーツァルトのミサ曲には、まだそうした最晩年のフリッチャイの演奏がもつ自在なスケールは少ないが、真摯に厳しく研ぎ澄まされた表現によって、この未完の大作をキリリと引き締まった造形力をもって彫りなし、その魅力と威容をくっきりと明らかにしている。
フリッチャイは余分な思い入れのないモーツァルトそのものの音の中から、鋭い直観力をもって音楽を構築している。
真摯にしていかにもセンシティヴな表現が大変に美しく、モーツァルトの音楽を深く愛したフリッチャイの作品への傾倒を静かに強い感動をもって伝えずにはいないだろう。
歌手陣もそうしたフリッチャイの志の高い表現に見事に応えており、シュターダーの清澄な歌唱、テッパーの香気あふれるフレージングの豊かさ、ヘフリガーの妥協のない音楽づくりなど、いずれも素晴らしい。
聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊のオーソドックスな歌唱も見事で、身の引き締まる思いのする名演だ。
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