2010年02月05日

マリヤ・ユージナの芸術


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ロシアは、偉大なピアニストを生み続けている。ホロヴィッツ、ギレリス、リヒテルといった人なら誰でも知っているが、彼らよりほんのわずか前に生まれたソフロニツキー、ユージナ、フェインベルクとなると、一部の人にしか知られてない。

ところが、稀有な女流ピアニスト、ユージナのCDが出たのである。

ユージナは、感傷的なところが全くなく、決然たる演奏をする。ペダルの使用を切りつめ、楽句をはっきり区切り、音の一つ一つが、音楽の核心を貫き通すのである。

ユージナがベートーヴェンの音楽に含まれているあらゆる感情、色彩を伝えるのに成功している秘密の一つは、若い頃、哲学を学び、その結果、人文科学に対する「鍵」を彼女が受け取ることができ、またバフチーンやパステルナークなどと親しく交際したと回想していることと無関係ではあるまい。

彼女は、譜面を注意深く読み、洞察し、燃えたつような精神で鍵盤に移し変えるのである。

それにしても何と明確なリズムと見事な音色を持っているのだろう。

ヴォルコフ=ショスタコーヴィチの回想録によれば、ユージナの弾く4声部のフーガは、その声部も異なった音色をもっており、ショスタコーヴィチが驚愕したことを伝えているが、ディアベッリ変奏曲でも、冒頭の物思いに耽ったような音色から明るい色、あるいは、雷雲のような印象の音色まで、曲の内容に合わせて変化し、それにリズムのすばらしい舞踏が加わり、ユニークな演奏となる。

しかし、ユージナの演奏がユニークで誰にも似ていないのは、他の演奏家が楽譜から引き出し得なかったものを目の前に出して見せるからで、それは、曲の本質を伝え、類い稀な感動を与えるのである。

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classicalmusic at 19:06コメント(2)ベートーヴェン  

コメント一覧

1. Posted by yoshimi   2010年02月07日 14:28
「証言」に出ていたモーツァルトのピアノ協奏曲の真夜中の録音セッションの話は面白いですね。
スターリン体制下のソ連で、ユージナは物事に動じない度胸の良い女性だったというイメージが強く残りました。

ユージナが弾くと、ゴルトベルクもベートーヴェンの変奏曲も、力強くて迷いがなく、緩徐部分のタッチは多少は柔くなりますが甘さはなくと、個性的ですね。こういうピアノは、昔も今も誰も弾かないでしょう。
ユージナの録音は、彼女の個性がそのまま出ているような演奏で、かなり好みは分かれるとは思います。
2. Posted by 和田   2010年02月07日 16:08
そうですね。かなり好みは分かれると思いますが、一人でも多くの人に聴いてもらいたい演奏です。おっしゃる通り、古今誰もこういうピアノは弾かないでしょう。
ゴルトベルクなんかはグールドよりも個性的な表現が随所にあって、面白いですね。
それにしてもロシアからは名ピアニストが続々と出てきますよね。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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