2009年08月20日
ロストロポーヴィチのショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」
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指揮者の円熟を物語る秀演だ。
冒頭から明晰この上なく、しかも弦のアンサンブルの充実とニュアンスの豊かさは特筆すべきものだ。
第2楽章は弦の清澄な表情がかけがえのない魅力となっており、第3楽章の緊張力をもった表現も美しい。
終楽章では洗練された音調と整頓された造形で演奏しているが、それが音楽的に純粋な光彩を放射する。
結果として純音楽的な演奏が、標題性や劇性の誇示よりもかえって説得力を持つことになったのである。
ショスタコーヴィチの交響曲は政治色の強いものが多く、この《レニングラード》もヒトラー率いるドイツ軍によって包囲されたレニングラード市内で着想されたのもといわれていた。
しかし、ロストロポーヴィチは「第7交響曲は、いわゆるファシズムの"悪"が第1楽章で表現されています。しかしその"悪"は単にファシズムばかりではありません。たとえばスターリンも"悪"です」と語り、作曲者と親交のあった音楽家として新しい解釈を示した。
27分弱にも及ぶ第1楽章は不気味にも力強く、第3楽章の穏やかな美しさはときに痛々しくもある。
そして「近づく勝利」が表現された迫力ある第4楽章。
大編成のオーケストラを意のままにドライヴして見せ、指揮者としての力量をはっきり示した名演である。
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