2010年06月03日
マタチッチのウェーバー:魔弾の射手
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
1960年代後半の代表盤のひとつであった。
N響と繰り広げた数々の名演で日本のファンにも愛されたマタチッチによる、スケール感豊かなウェーバー。
1967年に録音されたもので、マタチッチらしい、骨格のがっしりとした堅実な演奏である。
このCDの最大の聴きものは、マタチッチが生み出す逞しい骨太の音楽だ。
彼の男性的魅力にあふれた気宇雄大な音楽を、現代の音に変化させたオーケストラと合唱団の多少荒削りな音色も、このオペラとの素晴らしい適合を示している。
各場面での描き方もうまく、ことに狼谷の場面は、強烈な迫力にみちあふれていて圧巻だ。
オペラの世界での隠れた巨匠だった名指揮者の録音の中でも、最も聴き応えのある演奏だ。
昼なお暗いドイツの森というよりは、スラヴの香りを漂わせたやや明るく開放的な音づくり(そもそも舞台はボヘミアなのだし)が耳に心地良い。
ベルリン・ドイツ・オペラ管と同合唱団の演奏、そして気持ち良さそうに自慢の喉を披露する歌手陣も実際かなり荒削りだが、オケが豪放に鳴りわたる快感のほうが勝っている。
マタチッチの気迫に呼応した名歌手たちの迫真の歌唱も、多少古風ではあるが大きな説得力をもっている。
ショックのマックス、ニコライのオットカール、フリックのカスパールら、男性独唱陣のすぐれているのも魅力で、これで女性歌手たちがさらに充実していたらと惜しまれる。
かくして聴き手はいつのまにか「細かいこと言わずに、みんなで楽しめばいいのさ!」といわんばかりの親分の芸風に取り込まれてしまうのであった。
*効果音入り
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。