2010年02月25日

F=ディースカウのシューマン:歌曲大全集


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不世出の大リート歌手フィッシャー=ディースカウは、主要な作曲家の男声用リートをほとんど録音しつくすという偉業を成し遂げたが、そのなかで最も成功しているのがこの『シューマン歌曲大全集』だ。

それまでシューマンのリートはロマンティックな抒情一本槍と思われがちで、ほとんどの歌い手は愛のよろこびと苦しみの表情づけに余念がなかった。

しかしフィッシャー=ディースカウはシューマンのリートのなかに、たんに愛の表面的な一喜一憂だけでなく、それによって来たる内面の心理を深く掘り下げ、本来シューマンが目指していた深層心理の世界をこれまでにない斬新さで開いて見せたのである。

当時は地理的な世界発見の時代で、地図の空白を埋めようとする冒険が盛んに行なわれたが、その一方で心の未知の世界を覗き見ようとする内面の冒険も試みられつつあった。

シューマンはその先駆者となり、狂気の危険を冒してまでも心の謎の部分に踏み込もうとしていた。

とくにリートの場合、声は意識やたてまえを歌い出すのに対し、ピアノは無意識と本音をひびかせる。

その複雑な心理構造をはじめて明快に解き明かし、しかもポエジーを失うことなく、総合的にシューマンのリートの世界をとらえ得たのがこの演奏だ。

そのためにはピアノとの完全な釣合いが必要だが、エッシェンバッハはそれにぴったり。

2人でスケールの大きな、同時に心理の襞にこまやかにふれる演奏を実現している。

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classicalmusic at 18:33コメント(2)トラックバック(0)シューマン | F=ディースカウ 

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コメント一覧

1. Posted by haruko1106   2010年02月28日 23:50
5 classicalmusic様
D.F=ディースカウのシューマンの録音を聴いた事は無いのですが、classicalmusic様のレヴューは大変参考になりました。
私も今年、ロベルト・シューマン生誕200年リサイタルでシューマンの歌曲11曲歌う事が決まりました。主に余り演奏される機会の少ないシューマンの小品から多くの曲を選曲しましたが、是非、このブログの御意見を参考にさせて頂いて、シューマン歌曲の世界をほんの少しでも表現出来るように頑張って練習に励みたいと思います。
2. Posted by 和田   2010年03月01日 00:11
haruko1106さん、こ参考にしていただいてうれしいです。
リサイタルの成功を祈ってます。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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