2010年03月05日
カラヤンのベートーヴェン:ミサ・ソレムニス(新盤)/モーツァルト:戴冠式ミサ(ライヴ)
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「ミサ・ソレ」は雪をいただいた秀峰を仰ぎ見るかのような、崇高な感動を覚える演奏である。
隅々にいたるまで、カラヤンならではの巧みな設計が徹底しており、きわめてスケールの大きな音楽をつくりあげている。
1985年に録音されたものだが、カラヤンにはこれ以外にも3回の録音があり、ことに1966年の2回目の録音は、名演として知られていた。
この4回目の録音は、独唱陣がヴァン・ダム以外は若手で占められており、名歌手同士が実力を競い合うような醍醐味はないが、独唱から、合唱、オーケストラにいたるまで、すべてが完全に、カラヤンの意のままに動いているのが特徴だ。
1980年代になって、カラヤンは、小細工を弄することなく、音楽の核心に迫ろうとする姿勢が強くあらわれるようになったが、これもそうしたひとつで、作品の造形的な美しさを見事にひき出した演奏である。
全楽章にわたって速いテンポで進められる。
カラヤンは高齢に至って、思い入れや余分な表現を極力切り捨てているかのようだった。
そのため、ここでの演奏は全体に引き締まった展開が聴かれるが、反面さっぱりしすぎて、カラヤンの内燃する思いがあまり届いてこないもどかしさも覚える。
しかし、全体の音楽構築は実に堂々としたものだ。
独唱陣にやや弱さがあるものの、全体のアンサンブルは抜群によく、ことに「グローリア」は最高だ。
カップリングは、1985年6月29日、ローマ・カトリックの総本山ヴァチカンの、サン・ピエトロ大聖堂でおこなわれた、ヨハネ・パウロ2世による荘厳ミサを収めたもので、そのなかにこの「戴冠式ミサ」1曲が入っている。
カラヤンには1975年に録音されたベルリン・フィルとの同曲の名演もあるが、実際のミサそのものの雰囲気を味わうのには、このディスクが最高だ。
全篇にわたってカラヤンの個性が濃厚ににじみ出た演奏で、スケールが大きく、構築的にもしっかりしているのが特徴である。
いかにもカラヤンらしい設計のうまさが光っている。
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