2010年03月31日
シャイーのブルックナー:交響曲第7番
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シャイーのレコード第3作で、初のブルックナーだった。
若手だったシャイー指揮ベルリン放送響が、しがらみから解放された新鮮な解釈で、この上なく魅力的になっている。
ノヴァーク版による第7番は、意外に成功している例が少ないが、これは若きシャイーが、曲の抒情性をうまく引き出した成功例。
シャイーのブルックナーは、いわゆるドイツ=オーストリアの伝統とはやや異なった様式感覚に支えられている。
明るく華麗な音彩が、ブルックナーとは異色の演奏と感じさせる。
ややプッチーニ的なリリシズムだが、押しつけがましさはなく、テンポ設定も自然なほう。
宗教的な要素に決別して、純音楽的に再現したのが魅力である。
音楽は情熱的であり、メリハリが鮮明だ。しかし弱音のデリケートな美しさが随所に示されており、シャイーの感性の鋭さをうかがわせる。
ブルックナーの旋律がこれほど朗々と、そして美しく歌わせた演奏というのも、ちょっと見当たらないだろう。
全曲を通してテンポに無理がなく、シャイーが素直にブルックナーに対しているのがよくわかる。
実にフレッシュで、明るさと開放感に溢れ、それらが適切にコントロールされているため、かつて新鮮な感動を受けたトスカニーニのベートーヴェンやドヴォルザークなどを想起させる。
この演奏は異文化の接触にも似たさわやかな緊張によって、聴き手を魅惑せずにはおかない。
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