2010年03月10日

シノーポリ&シュターツカペレ・ドレスデンのブルックナー:交響曲第5番


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シノーポリの振るブルックナー、それは異色なんだろうなと、この演奏を聴く前の私なら思っていた。

そもそも、マーラー指揮者と呼ばれる人たちがブルックナーを振ること自体、ブルックナー信徒にとっては冒涜そのものと言われるみたいで、そうでなくても、世間的な評価はあまり高くないように思える。

第5番の交響曲はブルックナー自身が書いた最高の作品の一つであり、こういうブルックナーのなかのブルックナーを、病的マーラー解釈の第一人者が演奏してしまう。

一体どうなってしまうのか?いや、これがじつにいいのである(本当に)!

ここで思い出してほしいのは、シノーポリのマーラーは病的とはいえ、バーンスタインやテンシュテットのように、叱咤激励したり躁だの鬱だのの世界に無理やり投げ込んだり、要するに曲を激しくいじくりまわすタイプではなかったということだ。

シノーポリのマーラーは確かに怪しさ満点の奇妙な演奏だけど、彼はテンポを頻繁に動かすとか、鬼面で人を驚かすようなことはほとんどない。バランスをちょちょっと変えたりして、マーラーが本来持っていた狂気をじわりじわりとあぶり出す、そんな方法だった。

つまり、この方法なら、ブルックナーでも大丈夫な気がしないだろうか?

かなり濃厚な演奏だと思う。ブルックナー通なら、もう少しその派手な音色を抑えてくれ、と言いたくなるかもしれない。

でも、余計な感情なしにスコアのすべてが鳴り響く、というブルックナーに求められるという条件はお釣り付きでクリアしているのではないか。しかも、ドレスデンのオーケストラが豪放に鳴っているのだから、これはもう強力かつ贅沢な演奏である。

曖昧なところまるでなく、この演奏が嫌いな人は本当はブルックナーが好きじゃないだろう、と迫ってくるような、押しの強い明晰感がある。主題や動機の縁取りが濃いので、曲のブロック構造がはっきりとわかる。

つまり、この曲の本質を的確に抑えているのだ。

特に初めてブルックナーを聴く人でも、ブルックナーの曲構造に触れられる、そんな夢のような演奏なのだ。

マーラーのときはその狂気をあぶり出していたように、シノーポリはブルックナーではその構造をじわりと浮き上がらせていたということである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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