2014年03月08日

トスカニーニのプッチーニ:ボエーム


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《ボエーム》はプッチーニ38歳のときの出世作だが、1896年のトリノにおける初演を指揮し、自らの指揮者キャリアも成功させたのが、当時28歳のトスカニーニ(1867-1957)だった。

トスカニーニは作曲者をして「天才、魔法の指揮、再現以上の再創造」とまで言わしめているが、1946年、即ち初演50周年を記念してこの思い出深いオペラをニューヨークで演奏会形式で指揮している。

ミミにアルバネーゼ、ロドルフォにピアースとトスカニーニ好みの歌い手たちが起用されているが、オーケストラを含めてトスカニーニ・ファミリーと言ってよい名演奏家たちによる《ボエーム》は、ドラマも詩情も尋常ではない熱いカンタービレの心が充満している。

その立役者はもちろんトスカニーニその人だが、79歳という年齢のことなど忘れさせる若々しい、張りと輝きを誇る指揮ぶりであり、アリアもデュエットも、オーケストラもコーラスも、歌う火の玉になった演奏が圧倒的だ。

作品に注がれる巨匠の共感の心はそれほど切実であり、熱い想いがそのままのテンションで炎のカンタービレとなっている。

そして、そんな巨匠の指揮に魅せられたかのようにミミが、ロドルフォが、ムゼッタが、マルチェッロが、一途な眼差しで作品を歌い上げ、狂おしいまでに多感な音のドラマを作り出している。

《ボエーム》に感傷的な甘美さを求める人には、この演奏はあまりにも苛酷に響くかもしれない。

しかしトスカニーニはここで、より深い悲劇的な真実を教えてくれる。

厳しい音楽の中から、プッチーニが描こうとした愛の世界が、何と格調高く浮かび上がってくることか。

歌手陣の水準が今日からみれば不満を感じさせる部分があるとはいえ、トスカニーニはこの作品の最も深い部分での真実を描き出している。

トスカニーニは心の底から感じている。このオペラは他人事ではないのである。79歳の巨匠の心臓に流れている血はまさに沸騰しているのであり、そのほとばしりが歌わずにはいられなくしている。

演奏から半世紀以上が過ぎたが、永遠に凌駕されることのない遺産である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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