2010年03月12日

クリュイタンスのビゼー:カルメン


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ヴェリズモ・オペラの起源は《カルメン》にまでさかのぼる。女主人公の強烈な個性、激情的なホセ、嫉妬、舞台上の殺人など、なるほどここにはヴェリズモの特徴的な要素がそろっている。

しかし《カルメン》はフランスのオペラだ。

さらにこれはオペラ・コミックでもある。

あまりにもどろどろしたドラマをいったん離れて、しゃれた台詞回し、フランス語の繊細な表現など、本来のオペラ・コミックの軽やかな雰囲気を楽しもうと思ったら、このCDがいい。

1875年に《カルメン》を初演したパリのオペラ・コミークでは、現在のレシタティーフで歌われる部分が台詞で語られていた。

この様式を伝えるのがクリュイタンスの録音で、同時にスペインを舞台としながら本質的にフランス音楽である《カルメン》の性格を最高に生かした演奏である。

クリュイタンスは軽快なテンポで演奏を進めるが、フレーズとリズムに反映された洗練された感覚が、端正な演奏にこまやかなニュアンスをもたらしている。

これほど自然で爽やかな《カルメン》は、その後聴いたことがない。

カラスやバルツァのような強烈な表現がなくても、ドラマの劇性が減じるわけではない。

クリュイタンスの明快な棒のもと、粘っこい思い入れや感情の淀みなどなくてきぱきと展開する音楽とドラマは、とても新鮮で現代的だ。

歌手の発声もフランス式、発音も純粋、オーケストラの明るい音色と軽やかな響きもクリュイタンスの解釈にふさわしい。

発声法が世界的にヴェリズモから離れ、過去のベルカントやバロックを志向している現在、《カルメン》の原点を伝えるこの演奏の価値は今後ますます高まるに違いない。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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