2010年07月31日

小澤&サイトウ・キネンのチャイコフスキー:弦楽セレナード


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このチャイコフスキーの《弦楽セレナード》は1992年に録音されたもので、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラの出発点における成果となるが、学舎を同じくした同志たちを結ぶ絆が熱い音の奔流となって放出された輝きと勢いが圧倒的だ。

一途なのである。演奏の中身も、美しさも、情熱も。

演奏中に各奏者の眼差しが見えるような演奏と言えばよいのか、成熟した、世界の舞台で活躍する大人のミュージシャンたちが小澤征爾のタクトとの強い連帯感を背景に本当に熱い、そして無垢な感動の調べを心と肉体で存分に歌い上げている。

おそらく小澤征爾を見据える楽員の視線の途方には恩師の姿があったことであろうし、小澤征爾も叱咤激励してくれた恩師の声に励まされて指揮していったのではないかと想像されるが、それがその段階で終わらず、チャイコフスキーの心と結びついた点が画期的、あるいは歴史的意味を持つのである。

緻密だが堅くならず、美しいが慎重すぎて勢いを失うこともなく、作品をあらゆる角度から吟味した後に浮かび上がってくる確信というべき説得力がある。

しかも、学生の頃から皆が弾き込んできた作品だけに、ただ巧い、美しいといった表面的な仕上げの段階を超えて、自分たちの音楽として歌い上げた風格の豊かさのようなものまで漂っている。

これは欧米の名指揮者や名門アンサンブルによる演奏と比較しても決して負けない、作品の魅力を普遍的とでもいうべき水準と思考とで浮き彫りにした記念碑的演奏と言えよう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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