2010年03月15日
ベーム&ベルリン・フィルのモーツァルト:協奏交響曲集
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ここに採り上げた演奏は1960年代半ばの録音であり、今や40年以上が経過したヴィンテージものである。
改めて言うまでもなく、モーツァルトの演奏はその後の古楽復興、改訂譜の出版、さらに世代交代などを経て一変、かつて名演とされたCDが色褪せていく例を見出すことも珍しくない。
だが不思議にベームのモーツァルトは今なお輝かしく、喜びの鮮度も健在である。
確かに穏やかなテンポ設定といい、角のとれたふくよかなアンサンブルといい、遠い時代の色調を確認できないわけではないが、それが決して古さとはならず、むしろベームらしい語り口の美しさ、確立された様式美を感じさせるから凄いものである。
ソリストはいずれも当時のベルリン・フィルの首席奏者たちだが、無理なく、無駄なく、職人芸に徹したソロが実に清々しい。
個性や名人芸の披露ではなく、ベームを核に繰り広げられていく演奏という名の対話であり、それが音楽の流れとともに絆をより強くしていく、そんな奥ゆかしい至芸である。
まだ20代の若さだったブランディスやライスターは初々しさを、40代であったカッポーネやシュタインスやピースクらは経験の豊かさに物を言わせた奥ゆかしいソロを披露、最愛のモーツァルトの花園に聴き手を招き入れる。
音楽ファンに残された心の故郷のようなアルバムである。
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