2009年10月02日
ガーディナーのベルリオーズ:幻想交響曲
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古楽の演奏家に、未知の時代へと曲目を広げてゆく人と自分の時代領域を守る人の2つのタイプがあるとすれば、ガーディナーは前者の代表格。
次々と新録音を発表し、その勢いは留まることを知らない。
1830年に初演された《幻想》はガーディナーのロマン派進出の契機となった作品の一つ。
古楽器派のメインテーマはその楽曲が書かれた時代の"歴史的情報"を演奏に反映させることだが、本作はまさにその見本のような録音。
自ら管弦楽法の著作もあるベルリオーズは、当時(新旧の楽器が同居していた)の楽器の扱いに熟知していた。
それだけに、楽器配列も含めてオリジナルな音で聴く《幻想》からは、ガーディナーの巧みな構成力と矢で的を射抜くような先鋭な解釈とが相俟って、従来の演奏では聴きとることのできなかった作品本来の前衛性が充分なリアリティをもって迫ってくる。
1830年の初演当時を忠実に再現するためにオフィクレイド(テューバの原型とされる管楽器)、セルパン(蛇のような形の管楽器)、ナチュラル・トランペット、ヴァルヴつきホルン、ピストンつきコルネットなどの古楽器(またはそのレプリカ)を惜しげもなく使用。
さらには、初演当時に使用された旧パリ音楽院ホールで収録するというアーノンクールも顔負けの徹底ぶり。
第4楽章のティンパニなどモダン・オーケストラに比べてやや迫力不足の感は否めないが、第5楽章の19世紀から鳴り響いてくるような弔鐘は背筋がゾッとする。
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