2010年03月18日
アバドのドビュッシー:ペレアスとメリザンド
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アバドの当オペラ初録音で、ドビュッシーが出版譜に200カ所におよぶ校訂の手を加えた未出版譜によっている。ウィーン・フィルにとっても初の録音である。
アンゲルブレシュトをはじめとして《ペレアス》にも名盤が多い。
蠱惑的な美の極致をゆくカラヤン盤の妙味も忘れ難いが、ともすると饒舌になりすぎるきらいがあり、それがドビュッシーの枠に収まりきらない場合があるのに対し、アバドは透明感と静謐の美学を本領としながら、ウィーン・フィルのしなやかな音を、雄弁に(饒舌ではなく)使いこなしながら、くぐもるところのない、くっきりとしたドビュッシー像を描いてゆく。
また、アバドの指揮は劇的な切り込みが刺激的で鋭く、ウィーン・フィルも甘美さを隠し味に、ほの暗く青白い光を放つヴェールを被せたような響きでドラマを雄弁に語る。
非常に新鮮な感触の《ペレアス》ができあがっている。
配役ではユーイングのメリザンドが素晴らしく、多彩な声とニュアンスを駆使し、持てる可能性の全てを発揮した名唱だ。
ダムはゴローを熱っぽく表現して余すところがなく、ル・ルーも洗練された歌唱でナイーヴなペレアスの性格をよく伝える。
ユーイング、ル・ルー、ダムという顔ぶれは、アバドの抒情路線には適性を示しており、役柄に恵まれた、一期一会の録音と言えるかも知れない。
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