2010年08月04日
マーツァル&チェコ・フィルのドヴォルザーク:交響曲第3番
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ドヴォルザークの交響曲といえば、なんといっても最後の3つの作品が広く親しまれているが、若き日に書かれた《第3番》はそれらにはない素朴さと初々しいロマンティシズムの香りに満ちあふれており、私は強く心惹かれる。
1874年にスメタナの指揮で初演されているから、ドヴォルザーク32歳のときの交響曲ということになるが、ふくらみ続ける憧れ、果てしない夢、未来への希望といったメッセージが盛り込まれており、実にさわやかである。
円熟期の名作は世評が高い。しかし知られざる若き日の作品には円熟では語れない若葉のような詩情がある。
演奏しているのはチェコ人音楽家同士の組み合わせ、マーツァル率いるチェコ・フィルハーモニー管弦楽団である。
マーツァルは1968年のソ連軍のプラハ侵攻を機に国外に亡命、二度と祖国の土を踏むことは叶わないと、望郷の念を胸にアメリカで指揮活動を続けてきたマエストロだが、2003年についにチェコ・フィルの音楽監督に迎えられた。
奇跡的復帰である。
チェコ・フィルの育ての親ターリヒ時代のサウンドに戻すことが自分の使命と任ずるマーツァルのもとで、チェコ・フィルは確かに息を吹き返した。
この《第3番》の演奏からはそんな両者の決意と意欲とが音の結晶となって湧き出てきており、美しさもどこか誇り高い息づかいが感じられる。
使用する楽譜も通常の出版譜ではなく、チェコ・フィルが所有しているジムロック版(ドヴォルザークの生前に出されたもの)に拠っており、やるからにはこだわった、チェコ人音楽の心意気を見せた演奏である。
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