2009年11月11日
ポリーニのシューマン:交響的練習曲/アラベスク
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シューマンの作品は、どのような分野のものであれ、病的な部分というか、影のような部分をかかえ込んでしまっているケースが少なくない。
だが、ポリーニのアプローチはそのようないわば負の部分にはあまり拘泥することなく、ピアノの音自体の強靭な存在感でもって、ほとんど直線的になされていく。
それでいて、出来上がった演奏は多面的な魅力を帯び、シューマンの《交響的練習曲》の本質を鮮やかに掬いあげているところに、ポリーニの凄さがあるといえよう。
シャープで躍動感に満ちた魅力があり、もちろん細部まで克明に彫琢されているが、ラテン的で明るい歌謡性もが光っている。
ポリーニは5曲の変奏曲を第5曲と第6曲の間に纏めて組み込んで、ダイナミックかつブリリアント、壮大この上ない建造物を作り上げている。
《アラベスク》もさすがにポリーニはうまい。
響きをたっぷりととって、感傷に溺れないで健康的な明快な音楽に仕上げる。
ちょっと澄ました軽やかさで、音楽の襞を明晰に追って、あっさりともたれないところがいい。
ポリーニの、清澄にしてきらめきのある音質を生かした演奏は、端正ななかにも、華やかな輝きをもっている。
そして、なめらかな躍動感も、その演奏に生き生きとした流動感を与えており、全体として快い流れでまとめられている。
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